9/07/2026

9月句会レポート:秋雨の中、鯨の骨に季節を感じた

秋雨前線の影響で朝から小雨の降る9月5日、月例の麻布句会を開催いたしました。この日の吟行地である、白金台ゆかしの杜の港区立郷土歴史館を訪問。講師の今井肖子先生他7名が集まりました。

当初は残暑の厳しいことを想定して屋内の吟行としましたが、それが幸いし雨を避けて屋内で吟行が出来ることになりました。

港区立郷土歴史館の建物は、1938年に建築された旧公衆衛生院の歴史的に貴重な外観や内部の講堂などを保存改修して活用しています。館内には、港区で出土した縄文土器やクジラの骨格標本などが常設展示され、特別展には「江戸のお仕事ガイド」という企画で江戸時代の漁師、船や牛を使って荷物を運ぶ人、武家を相手の仕事や浮世絵などが紹介されていて、とても興味深い内容でした。

さて、このような展示を見ながらどのように俳句を作るのか? 館内で肖子先生にお聞きしたところ「展示品を見ながら秋を感じること」とのアドバイスをいただきました。なるほど! それぞれの展示から自分で感じた秋の情景をイメージして、季題を探していけばいいのか。そうして出来上がった皆様の句はいつもの吟行句会とは違ってバラエティにあふれたものでした。

茶屋に待つ月

浮世絵に秋灯

朝霧の芝海老漁の網を打つ音

大講堂の冷ややかさ

大講堂の懐かしさ

お鮨と月の宴

初秋の鯨の吐息

色硝子に露けし

等々の句が出来上がりました。

そしていつもの通り各自七句選句の後、それぞれの選句の披講と特選句一句の講評を行い、最後に肖子先生から特選と入選句の披講と講評が行われました。そして、いつものように一句一句について丁寧な指導が行なわれました。この日は、句の語順を変えてみる、言葉の詰めすぎ、季題の距離感が大切等々のコメントをいただきました。そして質疑応答の時間では各自から質問や意見、兼題の「南瓜」や「台風」について楽しくやり取りが行われました。

最後に来月の兼題は「月」全般になりました。今年の名月は9月25日(金)であることを肖子先生に教えていただきました。

句会終了後は全員で反省会に参加しました。どういう経緯か「愛」を俳句にするのは難しい、という話になり、次回の兼題に「愛」の読込みの句も作ることになりました。「やる気が出た!」という力強い言葉も出た中で会は散会いたしました。「月」と「愛」、来月も楽しみです。

心おどる俳句体験に興味がありましたら、お気軽にご連絡ください。

記:一剣

8/05/2026

8月句会レポート ~酷暑の句会は「文」を読み込む~

 

令和8年8月1日、麻布俳句教室の172回目の句会が開かれました。今回は猛暑のために吟行を行わず、句会のみの開催です。句会会場は、新橋駅から徒歩5分ほどの港区立生涯学習センター「ばるーん」。わずかな距離を歩いただけでも、会場に着くと汗が止まらないほどの暑さでした。午後1時に今井肖子先生のほか、6名のメンバーが集合しました。

冒頭に最近逝去された会員に黙祷を捧げました。今まで麻布教室の活動に大きく貢献されてきた会員1名が退会されたことも重なり、教室は少し寂しくなりました。


さて、先生から頂いた兼題は「紙魚」と「夕顔」。それに、席題の「日焼」と「文」の4つをお題にして、合わせて7句を作句。制限時間1時間半のうちに投句します。


席題の「文」は季語ではなく、「文」という文字が入っている句を作るのです。これを〝読み込み〟というそうですが、入会4年目の筆者には初めての経験でした。そういえば、短歌の世界でも、皇居で新年に行われる「歌会始」のお題は読み込みだなぁなどと考えつつ、「文」のつく句をひねり出しました。

選句の段階で興味深かったのは、読み込み席題の「文」の句が想像以上に広い発想を生み出したことです。文字、文学、古文、漢文、縄文、文鎮、呪文などが読み込まれました。その他の兼題句も傑作が多かったように思います。

吟行のない句会でしたが、肖子先生から貴重なお話を伺うことができました。それは、先生が最近ゲストとして招かれた大学の俳句講座の句会でのこと。同じく「文」を読み込む課題を出したところ、若々しい感性や表現の、しっかりした句を多く目にされたそうです。いくつかの句を紹介していただきましたが、感心させられました。

句会の後、近くの中華レストランで暑気払いの席を設け、句会を欠席したメンバーも合流して賑やかな食事会となりました。麻布教室のメンバーはそれぞれ教養と知識が豊富で、話題は俳句から落語、お能、小説、食文化、等々。筆者にはなかなかついていけないところも多いのですが、皆さんのお話を聞いているだけでも教養が身についてくるような気がしました。麻布俳句教室は、俳句だけでなく日本の文化、芸術を学べる場でもありますので、ご関心のある方、そして前述の大学生のような若々しい感性をお持ちの方、大歓迎です!

 

亜紀子記

7/06/2026

7月句会レポート ~俳句は人生を5%以上豊かなものにする~

さる7月4日(土)の麻布俳句教室は 青山霊園で各自で吟行散策をしたあと、すぐ近くの「青山いきいきプラザ」で句会を行いました。参加者はメンバー8名と今井肖子先生の計9名です。 
 今月の兼題は「五月晴」と「籐椅子」。 兼題は先生が選ばれるのですが、私たちにはなじみの少ない季語を選ばれ、あえてそれらに挑戦する機会を作っていただいていると感じています。 そのお陰で「五月晴」とは五月の晴れ渡った空のことではなく、旧暦の五月(新暦の5月末から7月上旬)の梅雨の間の晴間のことをさすのだということを今回初めて知りました。 また、「籐椅子」の「籐」(ラタン)も、私は「藤」と完全に勘違いしていました。何年生きてきても知らないことが私には山ほどあります💦 

 吟行をしていると普段あまり注意を払わない「細部」に自然と目がいくようになります。 青山霊園は綺麗に草刈りがされているお墓が多いのですが、それでも刈り取られた草の合間に「姫女苑(ヒメジョオン)=夏の季語」が可憐な花を咲かせ、「露草(ツユクサ)=秋の季語」が、息を呑むような青を放って密かに咲いています。

 外人墓地では「木槿(むくげ)=秋の季語」の花が遥か異国の地で亡くなった宣教師夫妻の墓の傍で咲いているのでした。 
「季語」ととともに目にする風景が美しく輝きだすのも「俳句」のすばらしさだと改めて感じるひとときです。 問題はそれをどう17文字で表現できるか? ――それが大問題(笑)。

 「俳句は楽しいですか?」と聞かれることがあります。それに対して私は「人生の時間を最低でも+5%充実させてくれます。何かの事に投資をするとして毎年5%以上のリターンがあれば、それはすごいことだと思います」と答えています。 

麻布俳句教室のメンバーは現在、生徒10名(内女性6名男性4名、年齢層は40代から80代)と今井肖子先生の計11名で構成されています。教室の名称は「麻布」ですが都内各区・市内及び神奈川県在住者で構成されていますので、是非皆さんも参加されませんか?

 さて、今回も大型新人 松栄さんの新鮮な句と話題提供で大いに盛り上がりました。 そして、そのまま反省会という名の「飲み会」に先生もご参加いただき突入したのでした。 

 記:鉄馬

6/07/2026

6月句会レポート ~ダンスと施餓鬼と句会と~

 6月の句会は、高輪いきいきプラザにて行われました。

講師の今井肖子先生をはじめ、参加者は10名。
梅雨入り前の過ごしやすい一日、まずは吟行から始まりました。
最寄りの品川駅では大規模な工事が進んでおり、数年ぶりに降り立った駅周辺は、すっかり様変わりしていました。
今回の吟行地は、グランドプリンスホテル高輪の庭園と東禅寺です。
グランドプリンスホテル高輪ではダンスの大会が、東禅寺では施餓鬼が行われており、その傍らで私たちは吟行をしました。
同じ6月の一日を、それぞれの場所で、それぞれのかたちで楽しんでいる人々の姿が印象的でした。

【グランドプリンスホテル高輪】
グランドプリンスホテル高輪の庭園は、これまで何度か通ったことはありましたが、ゆっくり散策するのは今回が初めてでした。
特に目を引かれたのは、竹に見立てたモニュメントです。
近づいてみると本物の竹ではなく、プラスチックで作られていることが分かるのですが、とても繊細に加工されていて、美しい庭園の中に遊び心を添えていました。

また、池にはたくさんの鯉がいて、まるで私たちを出迎えてくれているようでした。
その数の多さにも驚かされました。

【東禅寺】
その後、歩いて数分の東禅寺へ移動しました。
境内に入ると、多くの車が停まっており、伺ってみると「施餓鬼」が行われているとのことでした。
施餓鬼とは、生前の罪によって飢えと渇きに苦しむ霊、いわゆる餓鬼に食べ物や飲み物を施し、供養する仏教行事だそうです。
「施餓鬼」は初秋の季語ですが、年に数回、季節を分けて行われることもあるとのこと。
思いがけないきっかけから、新たな季語を知ることができました。


【句会】
吟行の後は、高輪いきいきプラザへ戻り句会です。
毎回、「もっとたくさん時間が欲しい!」という私たちと、「長ければいい句ができるわけではありません」という先生とのおなじみのやり取りがあります(笑)。
今回は、約1時間15分で句作を行いました。
今回の兼題は「業平忌」と「鯖」。
特に「業平忌」は難しく、私は一句作るのがやっとでした。
それでも、他の方々の句を聞くたびに、
「こういう表現の仕方があったのか」
「そんな切り取り方ができるのか」
と、新しい発見があります。これも句会の大きな楽しみの一つです。

【最後に】
今回、先生に教えていただいたことで一番印象に残ったのは、
「そのものだからこその内容を詠む」
ということでした。
私が詠んだ句に、
 鯖食らう 子供の頬の ぷっくりと
という句がありました。
先生からは、「それは鯖でなくても、他の食べ物でも成り立つ句ですね。鯖ならではの句が詠めるといいですね」とご指摘いただきました。
たしかに、季語や題材を入れるだけではなく、そのものだからこそ生まれる情景や感触を詠むことが大切なのだと、改めて気づかされました。
今回も、俳句を通して新たな出会いや発見がありました。
そして偶然にも、その日の夕食には鯖が出てきました。
句会の前に食べていた鯖よりも、どこかおいしく感じられました。

記:佳樹

5/06/2026

5月句会レポート ~新緑の光の中で、句会をご一緒いたしましょう~

初めまして、2月からこの会に参加した松栄です。まずは簡単な自己紹介から。

僕は寄席や落語、温泉好きの50代男性です。入会のきっかけは、落語の中で効果的に使われる川柳や返歌、都々逸などを聞いているうちに、「綺麗だな、カッコいいな」と思うようになり、ネットで近所の句会を調べてこの会を見つけたことでした。
句会は堅苦しいかも?と思っていましたが、先生はとても気さくで分かりやすく接してくださいますし、会の皆さまとの交流もとてもほんわかしていて、見学会当日の入会を決めました。

さて、5月の句会です。
ゴールデンウィーク連休初日のこの日は、好天に恵まれました。
吟行は六本木ミッドタウンに隣接する檜町公園へ。最高気温は27.5℃。まるで夏のような陽気です。
庭園の池には新緑が映り込み、花菖蒲も目にやさしく揺れていて、なんとも心地よい景色。
その中で、鴨や鳩、亀たちが思い思いに過ごしている様子を眺めながら、こちらもゆったりと句作に取り組みます。

こういう時間、いいですねぇ。
休日の公園にいるだけでも十分気持ちいいのに、「さてどう詠もう
か」と考え始めると、景色がぐっと違って見えてくるのが面白いです。

ちなみに先生からは、
「今日のように夏のような気候のとき、『夏めく』と言いがちだけど、この時期は『夏近し』が良いですね」
というご指導もありました。
(今年の立夏は5月5日とのこと)
こうしたポイントを、ゆるやかな雰囲気の中で学べるのもこの句会の魅力だなあと感じます。

午後は歩いて赤坂いきいきプラザへ移動し、いよいよ句会です。

形式は7句出し・7句選(うち1句特選)。
正直なところ、まだまだ初心者の自分には毎回ドキドキの時間ですが、それでも中に一句くらいはどなたかが選んでくださることもあり、それがちょっとした励みになります。

句会では、他の方の句を読んで
「なんだこれ?全然わからん?!」
と思うこともしばしばあります(笑)。
ですが、その後のコメントや講評を聞くうちに、
「なるほど、そういう見方があったのか」
と気づかされることが多く、まさに目から鱗の連続です。
人によって景色の切り取り方や言葉の選び方がこんなに違うのか、と毎回驚かされます。

今回は兼題の「メーデー」「若緑」に加えて、緑、新緑、藤(藤棚)、柳、蓬、牡丹…などの句が並び、
それぞれに味わいがあり、「なんかいいなぁ」と思わせる句にたくさん出会えた会でした。


なお個人的な都合で、句会後の「真剣な反省会(という名の飲み会)」には参加できませんでしたが、きっといつものように楽しく盛り上がったのだろうなと思います。

話題豊富で親切な方が多く、温かく迎えてくださるこの句会。
五七五の世界、皆さまも一緒にのぞいてみませんか。
きっと、新しい言葉との出会いや、ちょっとした発見が待っています。

(記:松栄)





4/08/2026

4月句会レポート ~おお、ここが松の廊下でござるか!~

 今年の桜もほぼ終わりかけた4日土曜日の句会のご報告です。

吟行地は皇居東御苑。地下鉄を出ると雨が降りだしていて、大手門には長蛇の列。8割方外国人観光客なのにはびっくりです。さすが、日本の桜の季節はワールドワイドですねぇ。

観光ガイドがすっかり板に着いた鉄馬さん、冷たい雨をものともせず、資料を駆使して江戸城大手門から天守台までを案内してくださいました。松の廊下跡では、臨場感あふれる吉良と浅野の立ち回りの解説が秀逸でした。(よって肖子先生は後の句会で、珍しく「殿中でござるの声や遠桜」というお茶目な句をものされました)

天守台の中ほどに根をはり枝を広げた大島桜の見事だったこと!
また、上皇ご夫妻が植えられた日本古来の梨の木がまさに花盛りで、梨の花は花期が短いので、出会えたのはラッキーでした。

皇居は奥が深く、山ほどいろんなものが詰まったブラックボックスと言われるだけありまして、歴史も文化も自然も豊かにぎっしり。散歩には最適でございます(なんとこの日は「ブラタモリ」の放映も皇居散策だった)。

さて午後の句会。
花冷え・花の雨・花くづ・沈丁花・梨の花・花通草(はなあけび)・紅枝垂れ桜・飛花落花、などなど、美しい言葉の数々がすらすらと並ぶ、まことに春らしい句会となりました。

終了後は改めて一剣さんの受賞を祝う会を開き、楽しくご機嫌な一日でございました。

これを読んで下さった皆さまもどうぞ五七五を使って爛漫の春を愛でてみて下さいませ。
麻布教室は若者から後期高齢者まで、スポーツマン・淑女・飲んべ・演奏家・趣味人など様々うち揃って、仲間入りして下さる方々をお待ち申し上げております。

風虎記

3/12/2026

3月句会レポート ~たくさんの春の季語に出合いました~

 

月の例会は港区広尾にある有栖川宮記念公園へ吟行に出かけました。


ここは私たち麻布教室のホームグラウンドと言ってもいい公園で、四季折々に訪ねています。春の椿、梅、桜、その後の新緑や紫陽花も美しく秋の紅葉も見事な公園です。傾斜地に沿って公園は広がり、ぐっと坂を上ると児童公園で小さな子どもたち、奥の広場ではサッカー少年が走り回っている、そんな公園です。

まず、公園入口すぐの池に集合。今日は沢山の鴨が遊んでいました…。

ただ、この鴨も「鴨」というだけですと、なんと冬の季語なんです。「え?俳句に詠めないの?」ええ、そうなのです。今は春の季語を詠みたいのです。

池の脇を進むと真っ赤な…椿。

これは春の季語です、大丈夫。池の奥にはせせらぎがきらきら。「春の水」なんて言う季語も浮かび、その奥は深い森のような景色になります。「蜘蛛の囲」(蜘蛛の巣)という季語を覚えたのもこの森、「蜷、蜷の道」を知ったのもこのせせらぎです。そこからすこし上がると小さな広場。一見して少し前は梅が見頃だったことを思わせる咲き終わりの梅の木が何本もありました。更にぐっと上った児童公園の「ぶらんこ」や親子で楽しんでいるしゃぼんだま(石鹸玉)が春の季語と教えていただいたのもこの公園でした。吟行は沢山の季語を目の当たりにし、実写として句を作ることができる貴重な学びの場であると私は感じています。

それぞれ吟行の後、会場に入り締め切りまで沈黙の時、句作の時間です。さっき見たあの景色、あの植物、うーーん、鳥が鳴いていたな、と。今このレポートを書いている私・詩音は、終わりかけの梅・鳥のさえずり・しゃぼんだま・椿を見つけ、なんとか句にまとめてみました。他の皆さんはどんな季語を見つけたの?気になりますよね。人によって気づくポイント、景色の切り取りが全く違って本当に楽しいのです。「他にどんな季語があったの?」「どんなポイントを切り取ったの?」気になりますよね・・・。そう思われたらどうぞ句会にいらしてご一緒に体験してみてください。きっと「知らなかったー」と思う言葉との出会いがあると思うのです。

記:詩音

9月句会レポート:秋雨の中、鯨の骨に季節を感じた

秋雨前線の影響で朝から小雨の降る9月5日、月例の麻布句会を開催いたしました。この日の吟行地である、白金台ゆかしの杜の港区立郷土歴史館を訪問。講師の今井肖子先生他7名が集まりました。 当初は残暑の厳しいことを想定して屋内の吟行としましたが、それが幸いし雨を避けて屋内で吟行が出来るこ...